新たに登場した『Shadowverse: Worlds Beyond(以下、シャドバビヨンド)』をプレイしている際に、LINE通話と同時に使用するとゲームのSE(効果音)やキャラクターボイスがまったく聞こえなくなるという現象が、主にiPhone 13ユーザーを中心に報告されています。
前作の『Shadowverse』ではこのような問題は発生していなかったため、戸惑っているユーザーも少なくありません。
本記事では、その原因や背景、iPhone 13などでこの不具合が起きる理由、さらに解決策までを詳しく解説します。
現象の概要:iPhone 13での特異な音声トラブル
LINEで通話しながらシャドバビヨンドをプレイしていると、ゲームのBGMはかすかに聞こえてくるにもかかわらず、SE(効果音)やキャラクターボイスといった重要な音声要素がまったく再生されない、完全なミュート状態に陥ってしまうことがあります。
特にバトル中の演出やキャラの掛け合いを楽しみにしているユーザーにとっては、臨場感が損なわれる深刻な問題と言えるでしょう。
このような現象は、iPhone 14や15などの比較的新しい機種では発生しにくい傾向があり、同じiOSのバージョンであっても端末によって症状が再現されるかどうかが異なるため、当初は端末固有の仕様やスペック差によるものではないかと推測する声も上がっていました。
また、通話時のイヤホン使用の有無や音量設定の違いによっても影響が変わることがあり、原因の特定が難しいケースも存在します。
しかしながら、実際にさまざまな検証や報告を集めていく中で、原因はハードウェアそのものにあるというよりは、iOSが提供する音声制御の仕組みや、それに対するゲームアプリの音声出力設定との兼ね合い、すなわちソフトウェア的な設計や挙動に起因していることが濃厚であると考えられるようになりました。
そのため、設定の見直しやアプリ側の調整によって解決できる余地は十分にあるといえます。
原因①:LINE通話中のマイクモード「声を分離」がゲーム音を遮断
iOSでは、通話アプリの音質を向上させるために、LINE通話などで使用されるマイクモードに「声を分離(Voice Isolation)」という機能が用意されています。
この設定は、ユーザーが発する声以外の周囲の環境音や雑音をAIが自動で検出・除去し、相手にクリアな音声だけを届けることを目的としています。
しかしながら、この“雑音”の範囲には、iPhone内部で同時に再生されている他のアプリの音声も含まれてしまう場合があります。
たとえば、Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバビヨンド)の効果音やキャラクターボイスなど、ゲーム内で流れる音が「不要な音」と判断されてしまうと、その音声がLINE通話中にミュートされてしまうケースがあるのです。
特にバトル演出や台詞など、臨場感を高める音が一切聞こえないとなると、プレイ体験にも大きな影響が出ます。
この現象は、マイクモードの設定が「声を分離」に固定されている場合に起こりやすく、とりわけiPhone 13ではこの設定が初期状態で有効になっていることが多く見受けられます。
そのため、特に設定を変更していないユーザーにとっては、自覚のないままゲーム音が意図せず遮断されてしまう状況に陥る可能性があります。
なお、設定を適切に切り替えれば、この問題は比較的容易に解消できるという報告も多く寄せられています。
原因②:シャドバビヨンド側のサウンド実装
シャドウバースビヨンドは、前作と比較して音響表現において大幅な進化を遂げており、プレイヤーがより深く世界観に没入できるよう、「360 Reality Audio」などの先端的な立体音響技術が採用されています。
これにより、臨場感や没入感が格段に向上し、まるでキャラクターたちが周囲に実在しているかのような音体験を提供しています。
しかしながら、このような高機能なサウンド技術は、複数のアプリを同時に使用するマルチタスク環境下において、特に通話アプリと併用した場合においては、意図しないトラブルを引き起こす原因にもなり得ます。
実際に、通話をしながらゲームを起動した場合、SEやボイスなどが極端に小さくなったり、まったく出力されなかったりする事例が確認されています。
とくに、ゲーム内での音声データのミキシング処理や、iOS側の音声セッションとの同期がうまく機能しないケースでは、他のアプリとの共存が困難となり、結果的にゲーム側の音声が通話優先処理によって抑えられてしまうのです。
原因③:機種による初期設定や音声APIの扱いの違い
iPhone 13以前のモデルでは、音声出力に関するAPI(アプリ間の音の優先順位や分配処理など)の取り扱いが、最新のiPhoneモデルと比較して異なる仕様であることがあり、これがサウンドトラブルの一因となることが考えられます。
iOS自体はバージョンアップにより機能面で統一されつつありますが、機種ごとのハードウェア構成やオーディオ処理チップ、さらにはシステムレベルでのデフォルト設定などが異なるため、同じ操作をしても出力結果に差が生じることがあるのです。
たとえば、iPhone 14やそれ以降のモデルでは、通話を開始した際に自動的に「標準モード(Standard)」が選択されやすくなっており、ゲーム音や動画音声などの出力も並行して通話と共存できるように最適化されています。
これにより、通話をしながらもアプリ側の音声が正しく再生される環境が整いやすく、ストレスなく複数のアプリを同時利用できるようになっています。
一方、iPhone 13やそれ以前の機種では、通話中にマイクモードとして「声を分離(Voice Isolation)」が優先的に適用される場合があり、この状態では通話以外の音声、つまりゲームのSEやキャラクターボイスなどが“不要な雑音”と判断され、意図せず抑制されてしまう現象が確認されています。
音声出力処理の順序やフィルタリングの基準が異なるため、このような差異が音声のミュートや極端な音量低下といった不具合として表面化しているのです。
改善策①:通話中のマイクモードを「標準」に変更
最も効果的でありながら、非常に手軽に実行できる方法として挙げられるのが、LINE通話中にiPhoneのコントロールセンターを表示し、マイクモードの設定を「標準」または「ワイドスペクトル」に変更する操作です。
これにより、iOSが自動で適用している「声を分離(Voice Isolation)」モードが解除され、ゲームアプリの効果音やキャラクターボイスが“雑音”として誤認されることなく、正しく出力されるようになります。
この設定変更を行うことで、通話中でもシャドバビヨンドのバトル中の効果音やボイスが聞こえるようになり、プレイの臨場感を大きく損なうことなく楽しむことが可能になります。
特に戦略性の高いカードゲームにおいては、音による情報伝達も重要な要素の一部であり、これらの音声が聞こえることでプレイ効率や没入感も向上します。
- 手順:まず、通話中に画面上部の緑色の通話バナーをタップして通話画面を開きます。次に、右上に表示されるマイクのアイコンをタップすると、マイクモードの選択肢が表示されるので、「標準」または「ワイドスペクトル」を選んでください。これでVoice Isolationが解除され、ゲーム音が通話中でも正常に再生されるようになります。
改善策②:シャドバの「360 Reality Audio」機能をOFFに
Shadowverse Beyondの設定メニュー内には、「360 Reality Audio」や「バトル演出」といった高度な音響表現を有効にするオプションがいくつか存在します。
これらのオプションを無効にすることで、音声出力の際に発生する余分な処理を省き、特に通話中における音の競合やミキシングトラブルを回避しやすくなります。
これにより、シンプルかつ効率的な音声ミキシングが実現され、他のアプリ、特にLINE通話との併用時でもゲーム内の効果音やボイスが安定して再生されやすくなるという利点があります。
また、音声出力の負荷が軽減されるため、端末自体のパフォーマンス向上にも寄与する可能性があります。
改善策③:LINE側の音量自動調整をオフに
LINEアプリには、通話中に他のアプリで再生されている音の音量を自動的に下げる機能が備わっており、この機能が有効になっている場合、Shadowverse Beyond(シャドバ)の効果音やキャラクターボイスが小さくなったり、場合によっては完全にミュートされてしまうことがあります。
特に、BGMだけがかすかに聞こえ、ボイスやSEが極端に聞こえにくくなるといった現象が生じた際には、この機能の影響を疑うとよいでしょう。
この音量自動調整機能は、LINEアプリが通話中に相手の声を優先するためにバックグラウンドで働くもので、ユーザーが明示的に操作しなくても動作していることがあります。
そのため、設定で明確にオフにしておかないと、他のアプリで発生する音が不自然に小さくなる原因となってしまうのです。
シャドバビヨンドを通話しながらプレイする機会が多い方は、必ずこの設定を一度確認することをおすすめします。
- 設定方法:LINEアプリを起動 →「設定」メニューへ進む →「通話」項目を選択 →「音量自動調整」のスイッチをオフに切り替える
その他の対策
- iOSやアプリの最新版へのアップデート:最新のパッチやAPI修正で不具合が改善される可能性があります。
- Bluetoothイヤホンや有線イヤホンの使用:物理的に音声出力先を分けることで、通話とゲーム音の混在を避けることができます。
- アプリの再インストール:万が一キャッシュの破損などが原因の場合、アプリの削除と再インストールが有効です。
まとめ
- iPhone 13で起こるシャドウバースビヨンドとLINE通話の音声トラブルの大部分は、Voice Isolation(声を分離)やゲームアプリ側の音声設定といったソフトウェア的な要因に起因していると考えられます。これらの設定の影響で、通話中にゲームの効果音やキャラクターボイスが再生されない、あるいは極端に小さくなるという不具合が発生しています。
- その一方で、マイクモードを「標準」に変更したり、ゲーム内の「360 Reality Audio」などの高負荷な音響機能をオフにしたりすることで、実際に多くのユーザーがこの問題を解消できているという報告が寄せられています。これらの対処法は比較的手軽に行えるため、特別な知識がなくても実践可能です。
- また、こうした問題は端末の世代や性能に依存するというよりも、個々のデバイスで設定されている通話時のオーディオ処理の優先順位や、LINEアプリおよびゲームアプリのバージョンの違いによる影響が大きく、ハードウェア自体のスペック不足が原因であるとは言い切れません。
なお、Cygamesは公式サイトやアプリ内のお知らせを通じて、今後のアップデートにおいてサウンド周辺の安定性を改善するパッチを配信予定であると明言しています。したがって、こうしたトラブルに直面しているユーザーは、修正が適用されるまでの間は本記事で紹介した回避策を活用しながら、快適なプレイ環境を維持していただくことをおすすめします。