職場において長い間共に働いた仲間が転職や退職する際、その人への感謝の気持ちを形にして伝えるために、心を込めた餞別を贈る習慣が根付いています。
しかし、餞別を包む封筒やのし袋にどのように文字を記入するか、適切な金額はどれくらいかといった点で不安を感じることも少なくありません。
この記事では、そんな餞別の封筒やのし袋への正しい文字の記入方法と、それにふさわしい金額の決め方について詳しく解説します。
適切な表現と金額を選ぶことで、贈る相手に対する思いやりと感謝の気持ちが確実に伝わるでしょう。
贈る心を形に:のし袋と餞別封筒の適切な書き方と選び方
餞別封筒への表書きは、贈る状況や相手によって異なるため、「御餞別」が基本的な選択とされていますが、場合によっては異なる言葉が選ばれることもあります。
転勤や異動の際には「御餞別」、「御礼」、「おはなむけ」などが用いられることが多く、退職や定年退職の時には「御礼」や「御退職御祝」が適しています。
引越しや新婚旅行の際にも「御餞別」や「おはなむけ」が選ばれがちです。また、海外への長期出張や赴任、留学の場合にも「御餞別」が一般的です。
ただし、目上の方には「御餞別」を使うのを避け、「おはなむけ」や「御礼」を選ぶのが望ましいとされています。
のし袋に名前を記載する際は、個人からの贈り物であれば水引の下にフルネームを記入します。
記入にはボールペンを避け、筆ペンを使用して濃い黒色のインクで丁寧に書くことが推奨されています。
複数人で贈る場合の名前の記載は、通常3人までとされており、名前は右から左に向かって高位の人から順に配置します。
最近では、すべての名前を中央にまとめて配置する方法も見られます。
また、大人数で贈る場合には「〇〇部一同」や「〇〇有志一同」といった表記を用い、具体的な名前は別の紙に記して封筒に添えることが良いでしょう。
これにより、贈る人たちが一目で分かりやすくなります。
餞別封筒の中袋への記入方法
餞別封筒の中袋への記入には特に注意が必要です。
もし中袋に金額を記入するための専用スペースが設けられている場合は、そのスペースに金額を記載します。
専用の記入欄がない場合は、中袋の表面に金額をはっきりと書き加える必要があります。
さらに、中袋の裏面には自分の住所と名前を記入することを忘れないでください。
これにより、餞別が誰から贈られたものかが明確になります。
金額の具体的な書き方については、この後のセクションで詳しく解説していきますので、そちらを参照して正確な記入を心がけてください。
封筒への金額記入:漢数字の使用法
のし袋に金額を記入する際、改ざん防止のために伝統的な漢数字を使用することが一般的です。
通常使われるアラビア数字(1, 2, 3など)の代わりに、「壱」「弐」「参」といった特別な漢字が用いられます。
以下は、一般的な数字と対応する漢数字の一覧です:
- 一 → 壱
- 二 → 弐
- 三 → 参
- 五 → 伍(通常の「五」も使用可)
- 七 → 七
- 八 → 八
- 十 → 拾
- 千 → 阡
- 万 → 萬
- 円 → 圓(通常の「円」も使用可)
例えば、5,000円の場合は「金伍阡円」と記入し、10,000円の場合は「金壱萬円」と表記します。
また、「也」という字はかつて「銭」という単位に関連して使用されていましたが、現在では10万円以上の金額を記入する際に稀に使われることがあります。
ただし、現代ではこの文字を加えることはほとんど必要なく、通常は使用しないことが推奨されています。
まとめ:餞別を贈る際のマナーと表書きの選び方の重要性
餞別を贈る際には、特に表書きの選択に注意が必要です。
特に目上の人への餞別では、「御餞別」という表現を避け、「おはなむけ」や「御礼」などの言葉を使用することが適切です。
また、企業間での贈答においては、互いの企業が持つ贈り物の文化や慣習に従うことが望まれます。
このような文化は企業ごとに異なる場合が多いので、不明な点がある場合は、事前に周囲の人に相談し、適切な表現を選ぶことが大切です。
こうすることで、餞別を通じて相手に敬意を示すとともに、不快感を与えることなくスムーズに意志を伝えることができます。